​老年病専門医は次の8つのコンピテンスを持つこととされています。
詳しくは 日本老年医学会のサイトもご確認ください。
  1. 高齢者の生活機能の評価と介入(10項目 必須5)

  2. 高齢者の特性に基づいた慢性疾患の管理(25項目 必須17)

  3. 高齢者の特性に基づいた急性期医療の実践(8項目 必須5)

  4. 介護予防へのアプローチ(4項目 必須2)

  5. 多職種連携におけるリーダーシップの発揮(6項目 必須3)

  6. 地域包括ケア・在宅医療の実践/マネジメント(4項目 必須1)

  7. エンドオブライフケアの実践/マネジメント(5項目 必須1)

  8. 老年病学・老年医学研究と医療への応用(3項目 必須1)

老年病専門医プログラム基幹病院マップ(2018.11 現在)

名古屋大学老年病専門研修プログラム

■目次

​1.理念・使命・特性

 本プログラムは高齢者に対し、当代最高の医療を提供することができる老年病専門医を養成するものである。本プログラムの専攻医は、定められた知識と経験を修得し、自身の診療能力を高めるとともに、医療ばかりでなく保健や介護分野についても高い理解を持ち、医療チームのリーダーとして、高齢者に対し質の高い医療を提供できる医師になる。

 

2.老年病専門研修はどのように行われるのか

  1.  研修段階の定義:老年病専門研修は、内科を基本領域として、幅広い疾患や障害の病態を理解し、基本的な治療法を修得した上で、より高度な老年病の専門性を身につける。なお、老年病専門研修は内科専門研修と並行して行うことが可能である。

  2. 専門研修の3年間(内科・老年病混合タイプの場合は4年間)は、日本老年医学会が定める「老年病専門医カリキュラム」(別添)に記載されている老年病専門医に求められる知識・技能の修得目標に対して、専門研修修了時に達成度を評価する。具体的な評価方法は後の項目で示す。

  3. 臨床現場での学習;老年病専門医カリキュラム必須項目すべてと、必須以外の項目の7割以上に関して研修レポートを記載することを要件とする。研修手帳への記載と指導医の評価・承認によって目標達成までの段階を明示する。研修施設ごとの到達目標は以下の基準を目安とする。

  • 基幹施設(名古屋大学医学部附属病院)での研修

期間: 原則として2-4年間 (2年以上が必修)

勤務形式: 常勤

内容: 老年病専門医カリキュラムのうち「1. 高齢者の生活機能の評価と介入」と「2. 高齢者の特性に基づいた慢性疾患の管理」、「3. 高齢者の特性に基づいた急性期医療の実践」、「4. 介護予防へのアプローチ」、「7. エンドオブライフケアの実践/マネジメント」を習得する。加えて、この期間に「5. 多職種連携におけるリーダーシップの発揮」、「6. 地域包括ケア・在宅医療の実践/マネジメント」も修得することが可能である。

 

  • 連携施設(急性期病院)での研修(選択)

施設: 国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター、JA愛知厚生連 海南病院、稲沢市民

期間: 原則として1-2年間

勤務形式: 常勤または非常勤。非常勤の場合、基幹施設研修と並行して行うことも可能。

内容: 老年病専門医カリキュラムのうち「1. 高齢者の生活機能の評価と介入」と「3. 高齢者の特性に基づいた急性期医療の実践」、「7. エンドオブライフケアの実践/マネジメント」を習得する。加えて、この期間に「2. 高齢者の特性に基づいた慢性疾患の管理」、「5. 多職種連携におけるリーダーシップの発揮」も習得することも可能である。

 

  • 連携施設(回復期・慢性期病院)での研修(選択)

施設: 名古屋逓信病院、社会医療法人大雄会 総合大雄会病院、南医療生協 かなめ病院、医療法人愛生館 小林記念病院

期間: 原則として1-2年間

勤務形式: 常勤または非常勤。非常勤の場合、基幹施設研修と並行して行うことも可能。

内容: 老年病専門医カリキュラムのうち「1. 高齢者の生活機能の評価と介入」、「2. 高齢者の特性に基づいた慢性疾患の管理」を習得する。加えて、「4. 介護予防へのアプローチ」、「5. 多職種連携におけるリーダーシップの発揮」、「6. 地域包括ケア・在宅医療の実践/マネジメント」、「7. エンドオブライフケアの実践/マネジメント」も習得することが可能である。

 

  • 連携施設(在宅診療)での研修

施設:あいち診療所 野並、南医療生協 星崎診療所(再掲)

期間:原則として1年間 (選択)

勤務形式:常勤または非常勤。基幹施設研修と並行して行うことも可能である。

内容:老年病専門医カリキュラムのうち「1. 高齢者の生活機能の評価と介入」、「2. 高齢者の特性に基づいた慢性疾患の管理」、「6. 地域包括ケア・在宅医療の実践/マネジメント」を習得する。加えて、「5. 多職種連携におけるリーダーシップの発揮」、「7. エンドオブライフケアの実践/マネジメント」も習得することが可能である。

 

  • 全期間を通じての研修

 全期間を通じて、指導医との連絡を密にとり、教育活動(学生対象の講義、院内セミナーや市民対象の講演などを含む)を経験する。また、学術活動として、学会発表 2件以上もしくは論文発表1件以上を達成し、老年病専門医カリキュラム 「8. 老年病学・老年医学研究と医療への応用」を経験する。

 1)臨床現場を離れた研修

日本老年医学会などの学術集会や地方会、教育講演に積極的に参加し、自己研鑽に励む。

 2)自己学習

 日本老年医学会発行の老年病専門医テキストや診療ガイドライン等を活用して、自主的に学習する。さらに、基幹施設を中心とするカンファレンスや学術活動に積極的に参加し、高いレベルで自己学習の継続的に行う習慣を身につける。 

 

3.専攻医の到達目標(全プログラム共通)

 3年間(内科・老年病混合タイプの場合は4年間)の研修期間で、以下に示す項目を修了すること。

1)老年病専門医カリキュラムに示された必須項目すべてと、必須項目以外の項目の7割以上に関して修得する(研修レポートと面接によって、修得度を評価する)。

2)何らかの教育活動(学生対象の講義、院内セミナーや市民対象の講演を含む)を経験する。

3)学術活動として、学会発表2件以上もしくは論文発表1件以上を行う。

 

4.各種カンファレンスなどによる知識・技能の修得

1)    チームカンファレンス・チーム回診
基幹施設での研修中は、週2回以上のチームカンファレンスまたはチーム回診を行い、指導医からフィードバックを受ける。

2)    全体カンファレンスと総回診
基幹施設での研修中は、少なくとも週1回受持患者について指導医に報告し、フィードバックを受ける。また、受持以外の症例に関する診療も共有し、診療技術および知識の向上に努める。

3)    クリニカル・カンファレンス
研修期間中、適宜、他科や院外医療機関との合同カンファランス、CPC等のクリニカル・カンファランスに参加する。

4)    認知症カンファランス
研修期間中、適宜、認知症カンファランスに参加する。

5)    退院支援カンファランス
研修期間中、適宜、退院支援カンファランスに参加する。


6)    症例報告
受持ち症例のうち、特に学問的に有益な症例について、日本老年医学会地方会などで発表する。学会等で発表機会が得られなかった場合、症例について自己学習の結果を加えたサマリーを作成し、指導医の指導および審査を受ける。

7)    学生・卒後臨床研修医に対する指導
病棟や外来にて、医学生・臨床研修医を指導する。医学生・臨床研修医を指導することは、自らの知識の整理、確認に有益であり、また医療チームのリーダーになるべきよい訓練機会である。医学生・臨床研修医の指導方法についても、指導医の指導を受ける。

 

5.学問的姿勢

 高齢者の診療における専門知識、専門技能を実践するために、最新の知識、技能、さらには、社会制度や福祉機器の情報についても修得する。 さらに、自身の体験した症例を学会発表する姿勢・習慣、まだ十分な科学的証拠の得られていない課題を見出し、学術研究に積極的に参画する姿勢・習慣を身につける。

 

6.老年病専門医に必要な倫理性、社会性

 多職種連携におけるリーダーシップを発揮できる能力を修得することは老年病専門医の重要な使命であり、エンド・オブ・ライフ・ケアにも中心的に関わらねばならない。そのためには、高度な倫理性や社会性が要求される。在宅診療や療養病床で多くの経験をつむとともに、基幹施設で多くの指導医と議論することにより、見識を深める。

 

7.研修施設群による研修プログラムおよび地域医療についての考え方

 高度急性期、急性期、回復期、慢性期の病院、介護保険施設、在宅など、さまざまな環境で高齢者診療を経験し、その特質や意義を理解することは、本研修プログラムの重要な事項である。したがって、基幹施設に加えて、地域の中核病院や在宅診療、療養病床、介護保険施設等で研修する。

 

8.年次毎の研修計画

 本プログラムでは専攻医が抱く専門医像や将来の希望に合わせて、各施設での研修期間や研修の順序を変更できる。また研修期間の途中であっても、研修プログラムの修了要件をみたす見込みがあれば、プログラムの変更は可能であるほか、提示したコース以外でも柔軟に対応できる。

 

 研修に先立って、各専攻医のこれまでの研修(卒後臨床研修や内科専門研修)内容から、老年病学専門医カリキュラムに則った高齢者診療の経験の有無を判断し、標準コースに記載したように年目の研修施設の選択判断の基準とする。この点は、在宅診療重点コースなど、他のコースを選択するときも同様である。

 

 また、具体的な研修病院については、専攻医の希望と各年度の連携施設(研修プログラムの施設群を参照)の状況を考慮して、年度ごとに相談し決定する。

 

​標準コース(例)
○研修開始以前に老年病学専門医カリキュラムに則った高齢者診療の経験がないと思われる場合(例)
1-3年目 基幹施設での研修
2-3年目 連携施設での研修を並行して実施 
(4年目 基幹施設での研修:内科・老年病混合タイプの場合)


○研修開始以前に老年病学専門医カリキュラムに則った高齢者診療の経験があると思われる場合(例)
1-2年目 基幹施設での研修
3年目 連携施設で研修
(4年目 基幹施設での研修:内科・老年病混合タイプの場合)

 

9.専門医研修の評価

1)形成的評価

 指導医およびローテーション先の上級医は、専攻医のカルテ記載の確認などによって、日常的なフィードバックを行うとともに、指導医は、専攻医が研修手帳に登録したカリキュラムの経験、実践内容を経時的に評価する。少なくとも1年に1回、研修プログラム管理委員会は指導医のサポートと評価プロセスの進捗状況について追跡し、必要に応じて指導医と連携し、評価の遅延がないように促す。また、達成度が低い項目がある場合には、その項目についてより多く研修できるように今後の研修計画を調整する。

 

2)総括的評価(全プログラム共通)

 13.修了判定を参照。

 

10.専門研修プログラム管理委員会

1)研修プログラム管理運営体制

 本プログラムを履修する専攻医の研修について責任を持って管理するプログラム管理委員会を基幹施設に設置し、老年内科の科長がその委員長の責を担う。

 

11.専攻医の就業環境

労働基準法や医療法を順守し、専攻医の心身の健康維持のための環境を整備する。

 

12.研修プログラムの改善方法

 可能な限り年に1回、少なくともプログラムの修了時点において、現行プログラムに関するアンケート調査を行い、専攻医の満足度と改善点に関する意見を収集し、その集計結果に基づき、研修プログラム管理委員会は、プログラムや指導医、あるいは研修施設群の研修環境の改善に役立てる。

 

13.修了判定(全プログラム共通)

以下について、研修プログラム管理委員会が確認したうえで、日本老年医学会専門医制度委員会にて審査を行い、修了を判定する。

  1. 必要な期間、診療等に従事し、研修を終えたか

  2. 老年病専門医カリキュラム必須項目すべてと、必須項目以外の項目の7割以上について修得したか(研修レポートと面接試験で評価)

  3. 何らかの教育活動(学生対象の講義、院内セミナーや市民対象の講演を含む)を経験したか

  4. 学術活動として、学会発表2件以上、もしくは論文発表1件以上を行ったか

 

14.専攻医が専門研修プログラムの修了に向けて行うべきこと(全プログラム共通)

 専攻医は、老年病専門医認定申請年度の月末までにプログラム管理委員会を通して、日本老年医学会の専門医制度委員会まで、別に定める様式をもって、研修レポート、学会発表・学術論文発表数、教育的活動について報告する。その後、専攻医は、専門医制度委員会により、書類審査を受け、専門医制度委員会により1-3月に開催される面接試験の受験資格が与えられる。

 

15.研修プログラムの施設群

●基幹施設: 名古屋大学医学部附属病院

● 連携施設
・ 国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター
・ 愛知県厚生連 海南病院
・ 名古屋逓信病院
・ 稲沢市民病院
・ 社会医療法人大雄会 総合大雄会病院
・ 南医療生活協同組合  かなめ病院
・ 医療法人愛生館 小林記念病院
・ あいち診療所 野並

・ 南医療生活協同組合 星崎診療所 

 

16.専攻医の受け入れ数

 名古屋大学医学部附属病院老年病専門研修プログラムにおいては、全体で16名、基幹病院には7名の指導医がある。プログラムとして1年で最大7名(定員上限)の専攻医を新規に受け入れる(基幹病院の指導医1名あたり原則1名/年の専攻医を新規で受け入れる。3または4年の専門研修期間として1名の基幹病院指導医当たり最大4名)。

 

17.研修の休止・中断、プログラム移動、プログラム外研修の条件

1) 疾病あるいは妊娠・出産、産前後に伴う研修期間の休止については、プログラム修了要件を満たしていれば、休職期間が6か月以内であれば、研修期間を延長する必要はないものとする。これを超える期間の休止の場合は、研修期間の延長が必要である。

2) 研修中の居住地の移動、その他の事情により、本プログラムでの研修続行が困難になった場合は、研修プログラムを変更することにより、研修を原則可とする。その際、研修手帳を活用することにより、これまでの研修内容が可視化され、移動先の新しいプログラムにおいても、移動後に必要とされる研修内容が明確にする。

 

18.専門研修指導医(全プログラム共通)

 日本老年医学会が定める専門研修指導医の要件は以下の通りである。
【必須要件】
1)専門医を育成するための、高齢者の医療に関する豊富な学識と経験を有すること。
2)原則として、申請時において専門医資格を1回以上更新していること。
3)原則として、専門医取得後に老年病学に関する研究論文(原著・総説・症例報告)を1編以上発表していること。

 

19.専門研修実績記録システム(全プログラム共通)

 専攻医は別添えの研修実績記録システムに、担当した症例を登録し、加えて、老年病専門医カリキュラムに記載されている事項のなかで、実践し修得した項をチェックする。指導医は記入された別添えの研修実績記録システムを定期的に確認し、フィードバックを専攻医に与える。

 

20.専攻医の採用方法

 プログラムを提示し、それに応募する専攻医を、研修プログラム管理委員会において、面接などにより選考する。

 
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